インフルエンザなのに検査は陰性!?迅速検査キットの弱点とは?

臨床検査技師の話
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のびのびのんちゃん

こんにちは!nobi-nonです。

 

先日Twitterで【インフルエンザ迅速検査キットの有用性】について話題にあがっていました。

 

「インフルエンザの迅速検査キットは感度が高くないから、万能ではない。必須の検査ではない。」

というようなツイートしている方もいらっしゃったのですが、「どういうこと?」と思う方も多いでしょう。

 

そこで今回は、検査のプロ・臨床検査技師の国家資格をもつnobi-nonが、インフルエンザ検査の有用性について解説していこうと思います。

 

 

特に「一度インフルエンザの検査を受けて陰性と判断されたけど辛い」という方やそのご家族はぜひご覧ください。

また、今後インフルエンザになった時のための予習として読んでいただければ幸いです。

 

 

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インフルエンザなのに陰性になる時がある!?

病院で「インフルエンザかもしれない」と言われた時、多くの方は鼻に綿棒をグリグリされる検査を受けると思います。(痛いですよね…。)

 

多くの場合、鼻をグリグリされた後の綿棒は、インフルエンザウイルス迅速検査キットという検査キットを使って検査を行います。

 

この検査のメリットは何といっても結果が出るのが早いこと。

商品にもよりますが、1~10分ほどで検査結果を判定することが可能です。

 

 

一方、インフルエンザウイルスを検出するのに最も正確性の高い検査はウイルス分離培養法です。

この検査では、綿棒に含まれた体液からインフルエンザウイルスのみを増幅させることで検出します。

非常に少ない量のウイルスしかいない場合でも、検査の最中に増幅させるため、より検出しやすいというメリットがあります。

 

しかし、検査に1~2週間程度の時間がかかることがウイルス分離培養法のデメリットです。

もともと健康な成人であれば、この検査結果が出る前にインフルエンザから回復してしまうことがほとんどでしょう。

 

 

さて、インフルエンザの正確性の高い検査はウイルス分離培養法とご紹介しましたが、普段受けることの多い迅速検査キットの正確性はどのようになっているのでしょうか?

 

今回、以下の3商品のインフルエンザウイルス迅速検査キットの添付文書をみることができましたので、ご紹介させていただきます。

 

インフルエンザウイルスキット ドゥーテスト®Flu  A・B(ロート製薬株式会社)
インフルエンザウイルスキット クイックナビTM-Flu(デンカ生研株式会社)
インフルエンザウイルスキット クイック チェイサー®Flu A,B(Sタイプ)(株式会社ミズホメディー)

※以下、ドゥーテスト、クイックナビ、クイックチェイサーと省略いたします。

 

 

ウイルス分離培養法でインフルエンザ陽性と診断された人のうち、それぞれの迅速検査キットで陽性となる割合は次のようになったといいます。

 

ドゥーテスト クイックナビ クイックチェイサー

A型インフルエンザ

87.9% 94.5%

87.9%

B型インフルエンザ 81.6% 94.0%

81.6%

※いずれも鼻汁鼻かみ液での検査実施

 

つまり、100人のインフルエンザ患者さんの検査を行った場合、

どの検査キットを使っても最低5人は陰性という結果が出てしまう、ということになります。

 

 

このように、医療機関を受診した際のインフルエンザ検査は万能ではないということです。

 

このことから、日本感染症学会JAIDと日本化学療法学会JSCで共同で作成している【JAID/JSC感染症治療ガイドライン―呼吸器感染症―】には、成人のインフルエンザの診断について次のように記載されています。

 

インフルエンザ流行期において,インフルエンザ様症状をきたす患者の迅速診断結果が陰性であっても,インフルエンザを有意に否定しないので,臨床診断によって直ちに抗インフルエンザ療法を開始する382)(AI).

 引用:日本感染症学会|「JAID/JSC感染症治療ガイドライン―呼吸器感染症―」

 

 

このガイドラインでは迅速検査キットはあくまで確定のために使われるのではなく、補助的に使うものという位置づけをされています。

もし検査結果が陰性であったとしても、インフルエンザの抗ウイルス薬によって治療を開始してもよいということなのです。

 

ですから、冒頭でご紹介した「必須の検査ではない」というツイートの内容は、このような背景からきているのですね。

 

 

インフルエンザの迅速検査で陰性になったけど辛い!再受診してもいい?

 

ここまで、インフルエンザの迅速検査が陰性であっても、インフルエンザの患者さんは一定数いるということをご紹介しました。

 

ですから、陰性だったからと辛いのを我慢するのではなく、どうしても体が辛い場合には医療機関を早めに受診しましょう。

 

インフルエンザの治療薬について、厚生労働省では次のように解説しています。

 

 抗インフルエンザウイルス薬の服用を適切な時期(発症から48時間以内)に開始すると、発熱期間は通常1~2日間短縮され、鼻やのどからのウイルス排出量も減少します。なお、症状が出てから2日(48時間)以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できません。効果的な使用のためには用法、用量、期間(服用する日数)を守ることが重要です。

引用:厚生労働省|「インフルエンザQ&A」

 

つまり、早めに治療薬を服用することで、インフルエンザの症状が早めに回復し、ウイルス量も減少して周りの人にうつすリスクが減少するということです。

 

一度陰性と診断されたからといってしばらく我慢していては、インフルエンザの治療薬の効果が十分に得られない可能性があります。

 

 

また、インフルエンザの場合でも、必ずしも病院を受診しなければならないというわけではありません。

症状が比較的軽い場合には自宅療養で回復することもあります。

 

しかし、次のような持病や体の状態にある場合には、重症化しやすいため医療機関への受診が原則です。

 

慢性呼吸器疾患
慢性心疾患
糖尿病などの代謝性疾患
腎機能障害
ステロイド内服などによる免疫機能不全
 妊婦
乳幼児
高齢者

引用:厚生労働省|「インフルエンザかな?症状がある方へ」

 

 

また、もともと健康な方でも、次のような症状が現れた場合には医療機関を受診しましょう。

 

子どもの場合

呼吸が速い、息苦しそうにしている
顔色が悪い(土気色、青白いなど)
嘔吐や下痢がつづいている
落着きがない、遊ばない、反応が鈍い
症状が長引いていて悪化してきた

引用:厚生労働省|「インフルエンザかな?症状がある方へ」

 

大人の場合

呼吸困難または息切れがある
胸の痛みがつづいている
嘔吐や下痢がつづいている
3日以上、発熱が続いている
症状が長引いていて悪化してきた

引用:厚生労働省|「インフルエンザかな?症状がある方へ」

 

 

インフルエンザの時は自宅で休養を!

 

インフルエンザは重症化した場合には命に関わる危険性があります。

また、感染力が強いため、周囲の人にうつしてしまう可能性もあります。

そのため、インフルエンザの可能性がある場合には次のことを守りましょう。

 

・安静にして、十分に休養をとる

・水分をこまめに、十分に補給する

・咳エチケットを心がけ、周りの人に向けて咳やくしゃみをしない、また、マスクをする

・鼻をかんだり痰が出た時にはごみをすぐゴミ箱にすて、手を洗う

 

インフルエンザウイルスは、発症の前日~7日後頃まで排出されるとされています。

「症状が落ち着いたから」「熱が下がったから」と早めに日常生活に戻る方もいますが、周囲の人にうつさないためにも1週間程度は休養をとるといいですね。

 

 

なお、お子さん方の通園・通学再開については、学校保健安全法で次の2つの条件を満たしてからと定められているため、この期間を守りましょう。

・発症後5日経過した

・熱が下がってから2日経過した(幼児の場合は3日)

 

 

インフルエンザの検査が陰性でもしっかりと休養を

今回はインフルエンザ迅速検査キットの有用性についてご紹介しました。

検査結果が陰性であったとしても、インフルエンザを否定することはできません。

自分の体を早く回復させるため、そして周りの人にうつさないためにも、自宅でゆっくりと休養し、必要に応じて医療機関を受診することが大切です。

 

 

参考

インフルエンザウイルスキット ドゥーテスト®Flu  A・B添付文書

インフルエンザウイルスキット クイックナビTM-Flu添付文書

インフルエンザウイルスキット クイック チェイサー®Flu A,B(Sタイプ)添付文書

日本感染症学会|「JAID/JSC感染症治療ガイドライン―呼吸器感染症―」

厚生労働省|「インフルエンザQ&A」

厚生労働省|「インフルエンザかな?症状がある方へ」

学校保健安全法施行規則

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