検査って正確なの?正しいという保証はどうやっているの?

臨床検査技師の話
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のびのびのんちゃん
のびのびのん

こんにちは!のびのびのんです!

 

突然ですが、あなたは今現在の、自分の血糖値がいくつかわかりますか?

 

……わからないですよね。

 

「健康診断の結果を見ればわかる!」という方もいるかもしれませんが、健康診断の結果はあくまで空腹時の血糖値です。

 

血糖値は食事の影響で簡単に上下してしまうので、健康診断の結果が今現在の血糖値の結果とは限りません。

 

さて困りました。

 

自分でもわからない血糖値。

 

「検査で結果は出ているけど、本当にこの数値が正しいのか?」と疑問を持った時に確認する方法がありません。

 

検査結果を100%信じていいものなのでしょうか。

 

 

 

前回の記事『臨床検査技師って何をしているの?』では、臨床検査技師の仕事内容についてご紹介しました。

 

その中でたびたび「検査の正確さ」という言葉が出てきていました。

 

実は私たち臨床検査技師は、正しい検査結果を報告するためにさまざまなチェックを毎日行っています。

 

今回は、血液の検査を例に、臨床検査技師がどうやって検査の正しさを保証しているのかについてご紹介します。

 

 

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検査の正しさを保証することを「精度管理」という

 

検査が正しく行われているかどうかをチェックする作業を「精度管理」と呼びます。

 

精度管理で確認するのは次の2点です。

 

①正しい数値を出すことが出来るか(正確さ)
②複数回検査をしても同じ結果になるか(再現性)

 

正確さ?再現性?

 

言葉で言われてもちょっとわかりにくいですね。

 

アーチェリーの的を例にお話していきます。

 

アーチェリーの的は、このように色分けされています。

 

真ん中に近いほど点数が高いです。

 

検査の精度管理にアーチェリーの的を置き換えると、

 

正確さ=いかに中心に近づけることが出来るか
再現性=何回矢を放っても、毎回同じところに矢が刺さるか

 

ということになります。

 

つまり、5回矢を放って、次の緑の位置に矢が刺さった時、良い検査が出来たということになります。

 

 

一方、次のようなときは正確さはあるけれど、再現性がないと言います。

 

中心からの距離は同じくらいですが、あたっている場所はバラバラですからね。

 

逆に、正確さがなく、再現性があるというのは次のような場合です。

 

全部同じような場所には当たっていますが…中心から離れすぎています。

検査結果が間違っていたり、検査するたびに違う結果が出ていたら患者さんも医師も困ってしまいますよね。

 

ですから「正確さ」と「再現性」は臨床検査技師の仕事の中で何よりも大切なことです。

 

 

「機械で測定しているから、そうそうズレることってないんじゃないの?」

 

と思っていませんか?

 

しかし、検査の機械では毎日大勢の患者さんの血液を測定しています。

 

機械がオーバーワークで壊れていたら?

 

直前に測定した患者さんの血液が混ざってしまったら?

 

検査に使う薬(試薬)が劣化していたら?

 

そもそもこの血液、患者さんを取り違えていない?

 

などなど、ざっと挙げただけでも検査結果に影響を与えるものってこんなにあるんです。

 

冒頭でお話した通り、検査結果はいくつで出るのが正しいのかはわかりません。

 

ですから、常に精度管理を意識することが大切なのです。

 

 

精度管理は2種類ある

 

精度管理には、

 

施設内で行う「内部精度管理」

 

他の施設との比較をする「外部精度管理」

 

があります。

 

それぞれ、どんなことをしているのかを見ていきましょう。

 

 

内部精度管理

 

内部精度管理では、同じ機械で同じ物質を複数回測定した時に、毎回同じ結果が出せるかを確認しています。

 

この時に使う測定物質は、施設にもよりますが、濃度の分かっている物質を測定することがほとんどです。

 

例えば、100mg/dlという濃度の糖が含まれた物質を検査した時に、毎回100mg/dlという結果を出せるかどうかを確かめる、といった具合で行います。

 

ただし、全ての検査には誤差がつきものです。

 

ですから、99mg/dlと結果を出すときもあれば、102mg/dlと結果を出すときもあります。

 

このばらつきが誤差として認識できるレベルなのか、それとも機械や試薬のトラブルによるものなのかを見極めることが、臨床検査技師の仕事の1つなのです。

 

 

内部精度管理は、多くの施設で少なくとも1日1回は行われています。

 

検査室の国際規格である「ISO15189」を取得している施設では、1日3回測定することもあります。

 

 

外部精度管理

 

外部精度管理は、同じ検査をA施設とB施設が行ったときに、同じ検査結果を出せるかを確かめるものです。

 

これは、いつも出来ることではないので、年に数回、全国の施設が参加して行われます。

 

同じ物質を測定して、正しい検査結果を出せるかどうかを確かめる精度管理ももちろんやりますし、血液の写真を見て、どのような検査結果を報告するかというマークシート問題もあります。

 

他の施設に比べて自分の施設の結果がずれていた時には、メンテナンスなどをしっかり行い、正しい検査結果を出せるように機械の調整を行います。

 

 

患者さんのデータからもわかることが

 

ここまでご紹介した精度管理は、管理された物質を測定することで行う精度管理でしたが、患者さんのデータを見る中で、機械にトラブルに気づくこともよくあります。

 

どのようにしてトラブルに気づくのかをご紹介していきます。

 

 

前回値チェック

 

私たちの体にはホメオスタシス(恒常性)という、体を一定に保つための働きが備わっています。

 

このホメオスタシスのおかげで、常に食事をしていなくても血糖値をある程度保つことが出来ますし、暑さや寒さに耐えることが出来ます。

 

もちろん検査結果にもホメオスタシスは働いているので、体の中で大きな変化が起こらなければ、検査結果も大きく変わることはありません。

 

もし患者さんの検査結果が前回に比べて大きく変化している場合には、

・本当に患者さんの体の変化によるものなのか

・機械のトラブルなのか

を検討しています。

 

 

たくさんの人のデータから傾向をつかむ

 

病院の規模にもよりますが、私がこれまで働いてきた施設では、血糖の検査だけで1日に数百人分検査していました。

 

その数百人分の検査結果をすべて確認して結果を報告しているのですが、ずっと見ていると

 

「なんだか今日来る患者さん、全員前回より血糖値が上がってるな…」

 

と気付くことがあります。

 

そんなときには内部精度管理で使っていた、濃度の分かっている物質を測定します。

 

それによって正確さや再現性に欠けていることに気づくということもあります。

 

患者さんひとりひとりの検査結果を見るのももちろん大切ですが、全体を見ることで気づくこともあるのです。

 

 

臨床検査技師は正確な検査結果を届けます!

 

このように、検査結果は臨床検査技師の様々なチェックを経たうえで報告されています。

 

今回は血液検査を例にしましたが、もちろん他の部門の検査でもしっかり精度管理は行っています。

 

ですから、安心して検査結果を見てください。

 

もちろん「どうしても納得がいかない!」という時には、遠慮なく医療スタッフに声をかけてくださいね。

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